Sennheiser MD421 – DYNAX ギターレコーディング マイク

ギターレコーディング マイク としてのSennheiser MD-421

ギターレコーディング マイク は様々な物があり、どのマイクも「そのマイクが持つ特性」があります。その事により、同じ ギターキャビネット で録音してもマイクが異なることでサウンドの質感は大きく変わります。
「質感が変わる=音の良し悪し」ではなく、レコーディングされる周波数が異なることで出音自体が変わりますので、その曲の中で「どのマイクが合うのか?」や「このジャンルであればこの定番マイク」などを選定する上でも多くのマイクでギターキャビネットを録音したサウンドをプレビューできることは、制作現場において大きなアドバンテージになります。

本ページで紹介するマイクの特性は以下となります。
ギターの収音では暖かさとまろやかさが有りながらしっかりと存在感があります。背面側との相性が良く、弦の明るく煌びやかな音を際立たせてくれます。また、その他のマイクロフォンとの組み合わせが定番になっており、R-121でローエンドとディテール感を、SM57でハイをフォローする使い方が定着しています。

Sennheiser MD-421 に関して

Sennheiser(ゼンハイザー)は1945年創業の70年以上の歴史を持つドイツの大手メーカーであり、音楽制作現場や映画制作現場など、プロフェッショナルな現場で数多く用いられています。オーディオファンにとっては、ヘッドホンやイヤホンが有名な印象がありますが、マイクロフォンも創業当初から変わらぬ大きな柱となっています。
本日はそのなかでも、スタジオやライブハウスで見ないことがないと言われるほど定番のダイナミックマイクであるMD 421、通称〝クジラマイク〟を紹介します。
種類はマッコウクジラでしょうか、特徴的なボディ形状がクジラそっくりであることが愛称の由来のようです。

MD 421の登場は1960年にまで遡ります。当初コンデンサーマイクに匹敵する性能を目指して開発されたMD 421はMD 21の後継としてテレビスタジオで音声や歌を収音する目的で使用されていました。
次第にライブPAでの使用が多くなり、1970年代初頭までは演説やボーカルマイクとして使用されるようになっていきます。(BEATLESのライブ映像では、このクジラマイクの初期型、通称〝白クジラ〟の使用が確認できます)
現代ではボーカルでの使用よりもそのアタック特性からドラムタムでの使用が主流となっています。
このように、様々な音源に対応できる特性を備えたMD 421は、度重なるマイナーチェンジを経て未だに販売が続けられている超ロングセラーモデルです。
70年の歴史のなかで数多くのバリエーションが生まれたことでも有名で、世界中に根強いコレクターも多いです。
まずはクジラマイクのバリエーションを初期型から現行までまとめましたのでご紹介します。※細かいマイナーチェンジが多く、記載以外にも作られている可能性があります。

バリエーション
・白クジラ 筆記体
・白クジラ ゴシック体
白クジラはロゴ書体の外観的な違いとは別に以下のような品番違いがある

MD 421–2
最初期モデル。DIN41624に従って配線されたバランス出力3ピンネジ山コネクタ仕様。末尾が-2で、現行のⅡではないので注意。

MD 421-N
段階的な低音低減のための5段階のロータリースイッチを搭載。DIN41524に従って配線されたバランス出力3ピンネジ山コネクタ仕様。

MD 421-HL
DIN 41524に従って配線された平衡/不平衡コネクタ仕様、および民生用テープレコーダーへのオプションのハイインピーダンス接続用の変圧器を備えている。

金クジラ
型番は MD 421deluxe。上記MD 421-Nと内部仕様は同じで外観デザインのみ異なる。外装が黒いハウジングにグリルが印象的な金色のデザインであることが由来。

黒クジラ
型番はMD 421-U。更に末尾に数字の2、4、5等バリエーションがある。
1970年代後期からの仕様で、黒いハウジングとバランス出力XLRコネクタ仕様。U4とU5は、取り外し可能なマイククリップのスレッドが異なる。バージョンU4には交換可能なスレッドがあり、U5には米国市場向けに固定された3/8インチの寸法のスレッドがある。

MD 521「Blackfire」
黒いハウジングとバランス出力XLRコネクター仕様。5段階のベースカットスイッチをオミットしている。

黒クジラ(現行)
型番はMD 421 II。2002年に導入された現行モデル。
基本的にMD421-Uと同じだが、製造工程の簡略化が図られており、アルニコマグネットが使用されていないほか、プラスチックを使用している部位が増えているなどコストパフォーマンス面での改善が施されている。

このように、数多くのバリエーションが確認されているMD 421ですが、本記事では現代においても未だに多くのスタジオにて現役で活躍している黒クジラ(MD421-U系)について紹介します。
1970年代よりボディカラーをライトグレー(白)からブラックへと変更された本機は2002年の現行モデルへの移行を機に生産を終了しており、手に入れるにはヴィンテージ品としてオークションなどの中古市場をチェックする必要があります。

サウンドは中高域に少しずつピークを持った周波数特性をしており、レスポンスにも優れています。ドラムなどのアタック感を際立たせてくれるため、主に打楽器に用いられる事が多いです。
この特性はギターでの収音でも活きており、アタックのピークに対して耐性があり、低音のスピード感も抜群です。傾向としてはややドンシャリ気味ですが、低~中域の奥行き感は格別です。
歪みとの相性も抜群で、よりエッジが際立ち、煌びやかな部分も自然に録れているように感じます。バンドアンサンブル内でボーカルと同列の位置に音像を置くことができます。

現行品(MD 421 II)との大きな違いは内部にアルニココイルが使用されていることが挙げられます。構造上ほとんと同じとはいえ、素材の違いによる音質の変化は必ず現れるので、ヴィンテージならではの音として求められるひとつのポイントのように感じます。
機能面ではマイク下部にハイパスフィルターを備えており、S~Mの5段階で切り替え可能です。ちなみにSはシュプラッハ、Mはムジークの頭文字となっており、スピーチとミュージックの略です。
このスイッチが結構動きやすく、楽器での収音ではスイッチが「M」になっている事を確認しましょう。P側になっているとハイパスがかかってしまいます。このあたりは当初、音声用マイクとして開発された名残といえますね。不安な場合はテープで固定してしまうのもおすすめです。

その他、シリーズを通して挙げられる点としてMD-421の専用ホルダーは非常に抜けやすいというデメリットを抱えているのが有名です。
現場でもテープで固定していることが多く、人によっては接着剤で固定しているなんて話もあるほどです。
初期型から一貫して挙げられている欠点であるものの、もはや愛嬌と捉えられているのか、ユーザーの民間療法での対策が主流となっています。

半面、ボディ素材はプラスチック製であるものの耐久性が高いことで有名で、スティックなどで叩かれる事もあるドラムセット周りで使われることが多いのは音の特性だけでなく、耐久性の高さからも選ばれています。

長い歴史のなかで多くのバリエーションが生み出されたクジラマイクはそれぞれの特徴に加え、ヴィンテージならではの個体差も楽しめるマイクです。
個性的なルックスと味わい深いアルニコのサウンドは一度手にすると手放しがたい1本になることは間違いありません。

特徴
・指向性がタイトでダイナミックマイクでありながら周波数特性が広い
・中域が豊かで高域の幅も広く、アタック感の利いたサウンド
・下部に回転式のスイッチがあり、中低域ロールオフフィルターを5段階で切り替え可能
・ボディ素材がプラスチック製であるものの耐久性が高く、スティックで叩いてしまう可能性のあるドラムセットでも多用される
・専用マイクホルダーを使用しても外れやすく、ガムテープ等で固定することが一般的

製品スペック
形式: ダイナミックマイク
指向特性:単一指向性
周波数範囲:30Hz-17kHz
感度:2,0 mV/Pa +- 3 dB(自由音場、無負荷、1KHz)
フィルター:5段階(S~M)
出力インピーダンス:200Ω
最大SPL:143dB
寸法:215 x 46 x 49 mm 
重量:385g

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