DYNAX IR について

1000時間を超える録音と検証に没頭した
「鳴らす人を感動させたい」
ただそれだけの為に

DYNAX IR について

DYNAX IR

DYNAX IR (Impulse Response) は、如何にリアルなキャビネットを再現できるか?に徹底的に拘り、生み出された究極のインパルスレスポンス。DYNAX IR は、一般的なIRよりもレイテンシーが低いのが特徴で、レスポンスの良いリアルなサウンドを提供します。
IRの作成は、DAWや録音に精通している人であれば比較的簡単に作成することができますが、それだけでは巷の「FreeのIRレベル」のクウォリティーです。ソフトウェアによっては、簡単に他のIRを組み合わせ1つのIRとして保存できるものも、EQをかけて帯域を編集できるソフトもあります。

しかし「基の音がダメなら組み合わせても駄目」ここが IR を簡単に作れるが故のハードルの高さです。

DYNAXのインパルスレスポンスは「1つの録音データを 1つのIRデータ」として提供しています。また、複数のDYNAX IR(異なるマイクやマイクポジション)を組み合わせ DYNAX Advance IR も提供します。海外のIRでは、既製品や他人のIRを混ぜ「新たなIRとして」エクスポートし配布・販売している所もありますが、ほぼ使い物にならないと言って良いでしょう。
理由は上記の通り、基の音がダメなら混ぜてもダメだからです。
混ぜ物は、波形を見れば分かりますし、2つのIR間のレイテンシーにより不自然な帯域が強調されてしまいます。極端ではありますが、1mと50mのマイクケーブルを用いて2つのIRを作った場合、50mの方がレイテンシー(遅延)が多く発生します。その2つのIRを組み合わせると、1mと50mのレイテンシーの違いがダブリとして再生されます。異なるメーカーが作ったIRであれば、録音環境も異なり、それらが持っているレイテンシーはサウンドに遅延を生じさせたり、タイトさが失われたり、不協なレンジ感を出してしまったりします。

また、録音後のデータ編集も簡単ではありません。インターネットで検索すると、「How to make Guitar Cabinet IR」 など、実際に IRを作成する手順を解説している動画やサイトを目にします。IRを作成するだけであれば、マイクで録音したデータをIR化するソフトウェアなどで簡単にIR作成が出来てしまいますが、殆ど使い物になりません。IRの作成には、マイク、マイキング、デットニング、ケーブルの種類やパワーアンプの選定から、録音した後のデータ編集作業でIRデータの音質に雲泥の差がでます。

それが冒頭の「IRを簡単に作れるが故のハードルの高さ」であり、我々がそれだけの作業の為に1000時間以上ものテストと検証を行った理由です。

楽器のどのレンジを出す事が
音楽的であるか?

IR CAB

まず、重要なことは「楽器のどのレンジを出すのが音楽的なのか?」ということです。DYNAXは、マイクに接続するケーブルによって録音のレンジを決めています。一般的に知られる BELDEN 8412 や MOGAMI 2549 などのギターの録音に定評のあるケーブルや、BELDEN 88760やMOGAMI 2534など録音やオーディオ用としても用いられるケーブルの特性を理解し、キャビネットの特性に合わせた適切なケーブルを用いることで、ギター本来のサウンドを再現してます。例として挙げた4種類のケーブルだけでも、全く音が異なり、ギターのピックアップを変えるとの同じ位 サウンドのレンジが変わると判断しています。

足すのか?引くのか?

ギター IR

DYNAXは「引く」方を選択しています。これは、録音時にマイクプリアンプを通すか否か?ということです。音楽制作のレコーディングでは一般的に、マイクを通じて録音する際には、コンソールやコンソールに付帯するチャンネルストリップ、他にもアウトボードとしてのマイクプリアンプなどを使用します。特にボーカルや楽器においては、楽曲のミックスに対して 分離感を出す為や、逆に馴染ませる為に エンジニアの好みに応じてマイクプリアンプを使用することが一般的な録音です。

なぜ DYNAXが「引く = アウトボードプリアンプを使わない」を選択をしているのか?それは、本質的でピュアなキャビの音を録音する為です。マイクプリを足すことで、特定の周波数がカットされてしまったり、余分なサチュレーションが加わり、本来のキャビネットの音では無くなってしまう事が一番の理由です。

音に味付けするのは 我々ではなく
弾き手 や クリエーターの仕事です。

下手にアウトボードをインサートすると、キャビから発する音量とマイクの最大入力値(SPL)が「録り音としての適性値なのか?」という判断が難しくなります。これは キャビから出ている音が IRを作る上で収音しなければならない音圧の適正値を下回った小さい音だったとしてもマイクプリアンプでマイクの入力ゲインを持ち上げる事が出来てしまう為です。これでは本来の「キャビの鳴り」を収音することは出来ません。
また、適正値以下の信号をマイクプリで持ち上げてしまうと、IR化した時のプレイアビリティに影響を与えます。ギター本体のVoが全開であれば然程気にはなりませんが、抑揚を出す為に ギター本体のVoを絞った時に「その差」が現れ、芯が無くサスティーンの無いペラペラな音になってしまいます。これが シミュレーターやプロセッサー系のレビューで良く目にする「音がペラペラ」の由縁でもあります。
ピュアで音質劣化が少ない、レンジ感と芯のあるインパルスレスポンスを作るため、色付け目的のマイクプリアンプは不要と判断しました。

ピュアに録るために

サウンドへの色付けなしにケーブル特性やキャビ特性をしっかり録音する為には、高品質で音響特性に優れたA/Dコンバーター、つまりはオーディオインターフェースが必要不可欠です。レコーディングスタジオでは、Protoolsと大型コンソールの組み合わせが主流です。マイク等の入力信号はパッチペイを経由しその他のコンソール以外のマイクプリアンプやイコライザー・コンプレッサーなどを経た上で最終的にオーディオインターフェースに接続され録音やプレイバックを行なっています。これらはレコーディングを行う、またはミックスを行う上での利便性を優先した信号経路で、どこのレコーディングスタジオであっても同様の環境です。ですが

DYNAX のIR制作にとっては
全く意味をなさない環境です。

理由は簡単で、音がマイクから録音されてDAWに記録されるまでの間に無数の機材や多くのケーブル、コントロールルームとブース間の「多くの抵抗」を信号が経由してしまう為です。どんなに良い機材でも、信号が経由する箇所が増えれば増える程、そのサウンドは劣化し、ノイズが乗り、少なからずレイテンシーも発生します。ミックス作業であれば、コンソールやプラグインで補正し、最終的に良いミックスに仕上げることはできますが「IRの本質」を考えた場合、望ましい良い環境では決してありません。

DYNAXの録音は、余計な機材を介さずオーディオインターフェースに直結する方式を採用しています。RMEやUniversalAudio、 AVIDなど様々なオーディオインターフェイスを検証した結果、現在は Prism Sound Titan にて録音を行なっています。

DYNAX IR は
独自のサンプリング手法で録音

IR を作成する場合、基準とする信号を再生し、録音機材(マイクなど)で録音したデータをインパルスレスポンスのデータに変換します。
重要なことは「どういった信号を使うのか?」ということです。
波形データは、特定の周波数を出力する物や、低い音から高い音に向かっていく音など、様々な物があります。ギターキャビネットを録音する場合は、キャビネットのスピーカーが再生できる帯域と、各マイクが録音できる帯域を考慮し、ギターアンプのサウンドとして必要な帯域を正確に録音させる為の信号が必要となります。有料 / 無料 を問わず アプリケーションで簡単に信号を生成できる物もありますが、それだけでは全く持って不十分です。

例えば15秒の信号の中でもこの帯域を強く、ここは長く、ここには別の信号を混ぜるを行うだけでも生成されるIRのサウンドは大きく異なってきます。
この検証だけでも100時間以上を要し、スピーカーキャビネットを正しく鳴らすには、どういう信号を用いることが最良なのか? それを研究してきた結果がDYNAXのサンプリング手法になっています。

独自のIR Edit

それぞれのキャビネットが持つサウンドを録音してからが本番です。IRを作成する場合、録音した音声データをインパルスレスポンスへ変換し、 IR ローダーに読み込むことで キャビネット シミュレーターとしての効果を発揮します。

この IR へ変換するプロセスで発生する作業こそ、IR制作において経験と知識が必用となり、我々が最も多くの時間と労力を割いたフェーズとなります。冒頭にも記載した通り、マイクロフォンやケーブル選定、録音、 IR への変換作業、たった1つのIRデータを創るために突き詰めた結果が、DYNAXのIRサウンドの要となっています。

>> DYNAX IR は各キャビネットをベースにモデル毎に掲載しています。こちらのページよりご確認頂けます。

このページのTOPへ